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「殿さまの茶わん」。薄くて丈夫な茶椀を作った陶工。殿様に告げられた意外な言葉とは? [気になるニュース]

皆様、小さい頃に、「殿さまの茶わん」という童話を読まれたことがありますか?

2010年5月24日、読売新聞、「編集手帳」に、出てきています。
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/column1/news/20100523-OYT1T00857.htm

《喜んで使ってもらえる製品を作るため、大切なこととは何か。
小川未明の童話「殿さまの茶わん」は、作る人の「しんせつ心」だと説く
◆薄くて上品な茶わんを焼く腕利きの陶器師が、
殿さまの茶わん作りを命じられ、透き通るほど薄い高級品を納めた。
後日、殿さまに呼ばれた陶器師は、おほめの言葉を期待したが、用件は苦情だった
◆薄いため、持つ手が熱くてかなわないという。
「いくら上手に焼いても、しんせつ心がないと、なんの役にもたたない」と諭され、
陶器師はありふれた厚手の茶わんを作る普通の職人になった》。

「編集手帳」は、この後、ものを買ってくれそうなアジアの中流層の人々が
望んでいるのは、使いやすくて、安い厚手の茶わんのような
日本製品なのかもしれないと続けています。

この作品は、小学生の頃、教科書か副読本で読んだ記憶があります。

殿様は、「薄くて丈夫なのはすばらしい」とかほめたので、
名人は、さらに薄くて丈夫な茶碗を
献上したのではなかったでしたっけ?

もっとも薄い茶わんに熱いお茶を入れたので、
殿様は、熱さをずっと我慢していたのでしたが。

そんな折、鷹狩りかなんかに出かけて、
お百姓さんの家で茶を飲んだ。
真っ黒で無骨な厚手の茶碗だったので、
茶の熱さを手に感じることなく、飲めた。
作者を尋ねたところ、
どこの誰とも知れない職人が焼いた茶碗だった。

その後、この件を告げた所、
名人は、厚手の茶わんを作る職人になった。

この物語を読んだ時、
「使う相手のことを思いやることは大事」
と思ったことは思ったのですが、
一方で、「なんとなくおかしいなー」と感じました。
皆さんはいかがですか?

おかしいと思った点は、いくつかあります。

誰にも真似できない薄手の茶わんを
作る技術を持っている名人は、別に一足飛びに
厚手の茶わんを作る職人になる必要はないのではということ。

熱いものを入れる茶わんなら厚手で、
そうでないなら薄手のものを作ればいい。
なのになんで薄手作りの技術を捨ててしまい、
厚手作りの職人になってしまうのか?

もったいない。

一方で、使う側、家臣、お殿様もおかしい。
熱い茶を入れて手に持てぬほど熱いなら、別の茶碗を使えばいい。
薄手の茶碗には、ぬるいお茶を入れて飲めばいい。

そもそも高級な茶(たとえば玉露など)はぬるい
と思われるほどの温度が実は美味しいのに、
手に持てぬほど熱々にしているのは、ものを知らないのでは…。

またお殿様の食べるもの、飲むものは、先にお毒味役が味を確かめ、
殿様の元にくるときには、冷めてしまっているのが普通。
それなのにお茶が熱々なんて、そもそも設定がおかしくはないか?
(殿様が熱々、焼きたての料理が食べたいという
落語とかお芝居なかったでしたっけ? 「目黒のさんま」はそれに近い?)

何が言いたいかというと、
殿さまの手元に熱々のお茶がくるという設定が不自然。
(毒味でお茶は通常冷めている。またそもそも高級なお茶は熱湯では入れない)

高度な技能を持つ名人が、「使い手」のことを考えていない
と言うけれど、使う方もそれを生かす使い方で使うべし。

日常に使う品は薄手より厚手がいいかもしれないが、
薄手がいい場合もある。
高級品、芸術品として、この名人の技術を生かす道もあるし、
取っ手(柄)をつけ、熱さを伝えない工夫をすることもできる。

お殿様は、すごい技術を持っている名人をつぶさず、
生かす方向で助言しないといけないと思うのですが。

ちなみに江戸時代には、長崎から「卵殻手(らんかくで)」という
向こうが透き通るほどに薄い陶磁器を海外に輸出していました。

長らくそれが途絶えていたのですが、
先年(2006年)、その技が復活されたようです。

藤本岳英さん
http://www.gokougama.com/sakusya.htm

卵殻手は、卵の殻のように薄いのにもかかわらず、丈夫で、
西欧人からエッグシェルと高い評価を受けていた高級磁器のこと。

三川内焼(みかわちやき)の陶工・池田安次郎が作り出したと言われています。
明治以降も輸出されていたようです。

藤本さんが再現したカップは、わずか0.9ミリの薄さだとか。
(コーヒーカップなので取っ手がついている)

すごい技術がよみがえって良かったですね。

佐賀新聞、2010年1月27日。
龍馬愛用の茶わん、忠実に復刻 佐賀玉屋で展示会
http://www.saga-s.co.jp/news/saga.0.1535762.article.html

《三河内焼とその時代》
http://mikawachi.yyyz.info/index.html
《三河内焼きとは》
http://web.me.com/koyorian/823/%E4%B8%89%E5%B7%9D%E5%86%85%E7%84%BC%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6.html
「殿さまの茶わん」所収。
小川未明童話集 (新潮文庫)》(アマゾン)
この童話から教訓を引き出すなら、たしかに
使う相手のことを思う、つまりニーズに応じた製品を作れ
ということだと思います。
その意味で、編集手帳の書かれていることは正しいと思います。
が、この名人のように高い技術をいかした製品作りで
今後、日本が世界で生き残っていくという道もあるはずだと思うのですが
いかがでしょうか?
殿様と茶碗で思い出すのは、落語「井戸の茶碗」。
志ん朝、志ん生が得意としていました。
落語名人会(17)》(アマゾン)

古今亭志ん生 名演大全集 5 大工調べ/鮑のし/井戸の茶碗》(アマゾン)


《落語の舞台を歩く》
《落語「井戸の茶碗」の舞台を歩く》
http://ginjo.fc2web.com/33idonotyawan/idonotyawan.htm

そうそう「はてなの茶碗」(茶金)という噺もありましたね。

「はてなの茶碗」は、京都は清水寺の脇のお茶屋から噺が始まります。
もとは上方落語。なので、米朝さんのものを。
特選!!米朝落語全集 第四集 [DVD]》(アマゾン)
志ん生のもやっぱりいいです。
古今亭志ん生 名演大全集 7 はてなの茶碗(茶金)/祇園祭り/探偵うどん
(アマゾン)
実際に清水焼で「はてなの茶碗」が作られているんですね。

「はてなの茶碗」
http://syoindo.noblog.net/blog/c/10161073.html

もっともこのお茶碗は、落語と異なり水漏れはしないようです。

「殿さまの茶わん」ほか、小川未明作品を、
加藤登紀子さんが朗読しています。
児童文学朗読CD集 小川未明童話選集(1)》(アマゾン)
日本音声保存
《小川未明 童話選集1 ※品切れ中※》
http://www.onsei.co.jp/goods-details/?itemcode=ANYC5024
こちらの説明によれば、
未明は、高麗李朝の焼き物、なかでも茶碗が好きだったようですね。


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コメント 2

空弁者

記憶違いをされている部分がありますね。
https://www.aozora.gr.jp/cards/001475/files/51008_51567.html
by 空弁者 (2019-01-08 19:15) 

nikitoki

空弁者さん。青空文庫のリンク、ありがとうございます。いやー、やっぱり記憶違いしていますね。
by nikitoki (2019-01-09 17:36) 

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